三茶の小劇場「シアタートラム」に演劇を見に行った

三茶の小劇場「シアタートラム」に演劇を見に行った

最近、電車で三軒茶屋に出かけるようになった。
三茶の駅から直接行けるキャロットタワーにある生活工房(www.setagaya-ldc.net/)にしばしば行く用事があるのだが、キャロットタワーは26階のビルで、世田谷区の公的な施設が入っていたり、各階には車いす用のトイレもあり、全体にゆったりしていて過ごしやすい建物だ。

キャッロトタワーの館内には大きめの劇場「パブリックシアター」・館外には小さめの「シアタートラム」の2つの劇場がある。どちらも設備の整った劇場らしく、もちろん車椅子対応らしい。何かあったらここで観劇してみたいな、と漠然と考えていた。

と思ってたら、思わぬチャンスがあった。
新聞の折り込みで区の広報紙が配られる。たまにそこにアートの広報紙も挟まれている事があり、区の施設で行われる美術展や演劇などの案内が書かれていたりする。
ある日の折り込みを眺めていたら、シアタートラムでの演劇に区民をご招待という
案内があった。思わず「車いす利用者ですが、それでも問題がなければ応募させてください」と書いて往復ハガキで応募したらなんと当選してしまった!
でも本当に大丈夫なのかな?ちょっと心配だった。

上演一週間前くらいにキャロットタワーに行く機会があったので、5階のチケットセンターに行って「招待のハガキを頂いたのですが、車椅子でも大丈夫でしょうか?」と伺ってみると、すぐに予約の状況を見て頂け、「まだ大丈夫でしたから、車椅子の席を確保しておきました」と言って頂けた。もっと早く問い合わせた方が良かったのかもしれない。

当日、母と2人でお昼過ぎに三茶へ。
劇の開始までまだ時間があったので、まず26階のレストラン「スカイキャロット」でお昼を食べる事にした。
東急田園都市線「三軒茶屋」駅で駅員さんに降車を手伝って頂き、ホームの一番端の方にあるエレベーターで一階上の地下一階に上がる。
www.tokyu.co.jp/railway/station/info/?id=30
ここで改札を出て、地下通路を通り、吹き抜けのパティオを抜けて、東急ストアに向かって自動ドアを通り、東急ストアの脇の細い通路のスロープを上がると右側にエレベーターがある。

 

パブリックシアターフロアガイド
setagaya-pt.jp/about/floor_guide/
生活工房バリアフリー案内PDF
www.setagaya-ldc.net/space/pdf/barrierfree.pdf
(東急田園都市線からお越しの方は、
改札を出て「パティオ口」へ進み 地下通路を抜け、
自動扉からビルに入り、
とうきゅうストアとコンタクトレンズ店の間にある細い通路を進むと、
地下1階からエレベーターをご利用いただけます。
1階からも、建物内の世田谷線側のエレベーターをご利用ください。)

そのエレベーターを2階に上がって出ると、26階レストランへの直通エレベーターの案内があるので、そっちに向かう。
直行エレベーターに乗ると、高速で26階へ。

26階にあがると、誰でも利用できるラウンジのようになっていて自由に展望が楽しめ、その一角はFMせたがやの放送ブースがあって生放送中だったり、反対側の一角は喫茶店のようなスペースになっていたり。
適度に人がいて、かといって混み合うほどでもなく、気軽に来れるフロア。

奥に進み、壁沿いの緩やかなスロープを上がると左の奥がレストラン「スカイキャロット」になっている。入るまでは敷居が高そうだけど、ここも気軽な感じのレストラン。
ランチタイムは混んでるのかもしれないけど、お昼過ぎなら待つ事もなく席が取れる。
気軽なパスタランチや和食を食べられる。ほとんどのランチがドリンクバー・サラダバー・スープバー付き。

私はハッシュドビーフのオムライスにした。美味しかった。
サラダバーにデザートのフルーツがあったり、ドリンクバーに冬でもアイスコーヒーがあったのが個人的には嬉しかった。

スカイキャロットアクセスページ
www.sky-carrot.com/access/index.html

食事も済ませ、いよいよ劇場へ。「シアタートラム」へは、いったんキャロットタワーの外に出て、世田谷線改札前を通り過ぎてガード下のような通路の下をくぐって左にある小劇場だ。

煉瓦造りの瀟洒な外観もシンプルな内装も美しい。

受付に伺うとすぐに席に案内して頂けた。
車いす用のスペースは、最後列の席を数席分取り外して車椅子と介助者用の補助椅子が並んで観れるように用意して頂いてある。
最後列とはいっても、100席ほどのこじんまりした劇場で、客席に角度があるので非常に観やすい。
観やすさに感動して、舞台の見え方をこのページに載せようと思って開演前の舞台を写真に撮ろうとしたら、係の方に注意された。館内は写真撮影禁止らしい。うわ、恥ずかしい・・・

今日の舞台は「花子について」
狂言師の野村萬斎さんの企画・監修による「現代能楽集」シリーズの7作目で、3つの作品のオムニバスだった。
能「葵上」・狂言「花子」・三島由紀夫作「近代能楽集『班女』」をもとにした三作品。
一作目の「葵上」は、黒田育代さんらによるコンテンポラリーダンス。
黒田育代さんについては、映画「告白」で少年の母親である数学者を演じた印象的な女性というイメージしかありませんでした。舞台の効果が鮮烈。

二作目は、狂言「花子」をもとにしたコメディ。純粋に楽しめる作品。そして片桐はいりさんのコメディエンヌとしての才能の高さがわかる作品。

三作目は三島由紀夫作「近代能楽集『班女』」をもとにした現代劇。現代的な演出で、面白いテーマの作品だった。
ここでも片桐はいりさんの演技が際立つ。
「自分以外の人を待ち続けている人(自分を絶対に愛さない人)を愛する事で安心する女性(いわゆる「腐女子」なんかもそうかもしれない)」
なんとというか、「自己否定によって心の平安を得る、心を閉ざした女性漫画家」早く言えば「かたくななオタク」的な人物を見事に演じていた。
テレビで見る片桐はいりさんはいつも飄々として片桐はいりという一貫した強烈な個性を貫いている印象だったので、こんなに多彩な表情を持った役者さんだと知らなかった。
主婦を演じれば主婦に、オタクを演じればオタクにしか見えないのに、もちろん没個性ではなく、役を邪魔せずに片桐はいりという個性が光っている。張っていると感じさせないのに良く通る声、よどみない台詞、才能のある舞台俳優さんってこんなにすごいんだなと、とにかく感心した。

・・・偉そうに書いてしまったけど、舞台を見たのなんて30年ぶりくらいだ。
30年くらい前に演劇好きの友達に誘われて東京ヴォードヴィルショーの「いつか見た男たち」(たぶん)を観たのが最後だった。

車椅子でもこんなに気軽に観劇できる劇場が近くにあるんだから、ぜひまた観に行きたい。
30年後はもう生きてないだろうから、それよりは早く。

narida
About narida 69 Articles
当サイトの管理人。 昭和30年代生まれの高齢オタクです。 筋肉の難病で車椅子生活をしていますが 初音ミクで音楽を作ったり、コミpoでマンガを作ったり、 客船で旅行したり、サッカー観戦したりと 脳天気な生活をしています。 http://ii.la/narida/